まえがたつからぜんりつせん


オリジナル創作小説サークル「まえぜん」のブログです。

サイト内の作品を読みたい方はカテゴリ「創作小説」よりお願いします。

遅ればせ自己紹介など5

 超弱小&亀更新サークルなので、多分ここに来て下さる殆どの方が、当サークル=私の事を知らないと思います。
 サークルに関しては、最初の記事に書いたので、遅ればせながら簡単に自己紹介など。

 殆どの皆様、はじめまして。サークル「まえぜん」のまえぜん、です。
 サークル活動するにあたりPNをつけようかと思ったのですが、いい感じの名前が見つからず、サークル名をそのまま名乗っています。
 実は、以前ちょいエロ実話エッセイ漫画のジャンルで活動していて、そちらでは別のサークル名・PNを名乗っています。現在はブログ含め活動休止中ですが、妊娠関係のネタが溜まってきたので、近いうちにまとめてそちらのブログにUPを検討中です。

 はい、現在妊娠真っ盛りです。

 初産なので右も左も分からず、ネットや本で出産・育児に関して調べる日々なのですが、人に言いたくなるような発見の連続なのです。
 特に妊婦萌え&超ロリな人に教えたい!!ていうか、そういうの好きな方はとっくにご存じだったりするのかもしれないですけど、私は知らなかったよ!!という叫びを伝えたいのです。

 こちらのブログもありますし、順調なら出産までそんなに時間が無いので、いつになるか分かりませんが、興味のある方は こちらへどうぞ

 そんな訳なので、今年の夏コミ含め、しばらくイベントには参加しません。
 今年は「絶対妊娠してやる!」と思ってたので、最初からコミケの申し込みはしませんでした。とりあえず念願叶って良かったです。あとは無事に産まれてくれれば……!

 趣味嗜好としては、ロリ&ショタです。特に第二次性徴なりかけが大好物です!憧れの職業は保険医です。あとは兄妹(血縁ありなしは、どちらでも可)が大好きです。最近は姉弟もちょっと好きです。同性愛はBL・百合共に好きですが、3番目って感じです。特に百合は第二次性徴とくっつくからこそ好き!的なところがありますね。
 物を書くのが好き、という点からしたら、いつか大人の恋愛も挑戦したいところですが、本人がこんななんで、いつになるかはちょっと分かりません。

 現在の活動は小説ですが、自分自身は小説殆ど読まないです。脳の殆どの成分が漫画とお笑いで出来ています。あとはちょっぴりゲーム。最近「ぢごぷり」読んで落ち込みました。あれが待っているのかと思うと、出産恐いですね。いやでも産むけど。

 とりあえず、こんなところでしょうか?皆様、長く温かい目で宜しくお願い致します。

  ***  ***  ***  ***  ***  

ぢごぷり(1)
ぢごぷり(1)

ネタメモサルベージ・その13

 旧々ブログ(2007/11/14)より、いつか使うかも百合・レズ系ネタメモ。

  ***  ***  ***  ***
・同僚の彼女の妊娠が発覚したその日に自分は生理がきた。
・女子校には女子校ならではのルールがある。
・モテる彼女を好きになったのは、入学式の挨拶での凛とした背筋でも歌うように響く明瞭で落ち着いた声でもカンペをまるで無視して穏やかに且つ意思を持って壇上から見下ろす力強い瞳でもなく、昇降口の段差でうっかり転びそうになった私を支えようと繋がれた指先が、とても細く柔らかだったからだ。
・彼女の両手が私の右手を包み込む。何故彼女はこんな事ができてしまうのだろう。私は彼女が女性を好きな女性であると知っているし、彼女もまた私がそれを知っている事を知っている。だが、私が彼女をどう思っているのか彼女は知らない。もし私が彼女の生き方を快く思っていなかったと知っても、彼女は私の手を握るだろうか。
・髪に触れたい。抱きしめて、キスしたい。背伸びをし虚勢を張って、自分は頼れる女なのだと誰かを守ろうとする彼女を自分の胸に迎え入れて「もう、いいのだ」と背中を丸めて泣かせてやりたいと思うのが男だけの特権だなんて。彼女がずっと闘ってきた相手の前でしか仮面を外せないなんて。所詮彼女も獣なのか。
・幼い時から女の子同士でつるむのが苦手だった。腕を組んで歩いたり、休み時間に一緒にトイレに行ったり、プールの授業中ふざけて胸を触ったり。誘われれば一応付き合う事はした。でも自分からはどうしても出来なかった。
  ***  ***  ***  ***

流れ流れて1発目3

 サークル「まえぜん」のブログ先が定まらず、そのうちPCの調子が悪くなったり飽きたり(!)して実質放置していたのですが、DLsiteさんでブログをやってくれると伺ったので、早速始めてみました。

 ほぼ100%の皆様はじめまして。こちらは、オリジナル創作小説サークル「まえぜん」のブログです。
 「まえぜん」はブログタイトル通り「まえがたつからぜんりつせん」の略です。本当は違うってことくらい知ってますのでつっこみは要りません。
 初回のデザインは名前に合わせてふざけてみました。

 サークル活動内容としては、同性愛・BL・百合・ショタ・ロリ・SM・女装・近親相姦等。無節操に恋愛物を取り扱っていく予定&気が向いたときのみ更新ですので、心の広い方向けです。
 ブログでは、主にサークルサイトの更新情報・サークル情報・作品進行状況・思いついたネタやプロット覚書・等書く予定。頒布作品は18禁ですが、サイト内の作品は今のところ一般向けのみとなっています。

 DLsiteさんに登録した作品は、自動でブログに登録して下さるそうです。基本DLsiteさん以外のサイトには登録していない(他店舗販売申請はしていますが、それ以外はやってません。面倒くさがりなもので)ので、これだけでも、かなり便利
 願わくば、この機能が早々に立ち消えず、末永く続きますように…。

 流れ流れて、とうとう4回目のブログ挑戦になるのですが…×××。私こそ、今度こそ上手く続くといいなと思います。今のところは軽さもいい感じです。
 しばらくは、旧ブログ・旧々ブログからの記事(ネタ)引越し作業が続くと思います。どうぞ宜しくお願いします。

小説『3月』 第3章

『3月』第1章<<  『3月』第2章<

 奴の家は、言葉通り学校のすぐ裏手にあった。この辺ではよくありがちな大きさの一戸建てだ。
 「どうぞ」
  送り届けたらすぐに帰るつもりだったが「手当てだけでも」と引き止められた。それに、まぁ、今日の一件で奴の私生活に興味が湧かなかった訳でもない。俺は右足を庇いながら歩く奴の身体を若干支えるようにして、開かれたドアに続いた。

 「うあ、ぁ…」
  見た瞬間、後悔した。何て言うか…、余りにも『予想通り』で。
 「コレ、姉貴の部屋?って事は……ないよな?」
  有り得ないだろうとは思いつつも、念のために口にする。
 「ううん、おね…、姉の部屋はもっと……シンプルだから」
  ああ、確かにそんなタイプだったよ。
  すっかり男姿に戻ったこいつには違和感を感じる部屋だ。淡いピンク色のレースのカーテンがかかった出窓にはチューリップの鉢植えと、耳に赤いリボンのついたファンシーなネコのぬいぐるみが仲良く並んで、午後の日差しを優雅に浴びている。白のカントリー調? のテーブルの上にはパッチワークのテーブルクロスと手作りと思われるクッキーが乗っていて、部屋に甘い匂いを漂わせていた。
  勧められて小花の刺繍が入ったクッションに座ると、擦り傷の手当てを受ける。俺の事より自分の手当てをまずやれよ、と思ったが、さっきから下を向いたまま一心に俺の擦り傷と格闘する姿を見ていたら、何だか言うのが躊躇われた。
 「ん? て事は、姉貴と部屋、別々なんだろ? よく制服借りれたなぁ。見つからなかったか?」
  この部屋の状況から察するに、化粧道具は自前だろう。でもセーラー服を自前で持っているとはさすがに思えない。
 「姉は、高校ソフトで推薦入学したから…。あっちの練習に参加しときたいって、おばさんとこに……」
 「下宿か? 大変だな。そうかアイツそんなに凄かったんだ」
 「でも居ても貸してくれたと思うけど…」
  それはつまり知ってるって事か!? …まあ、でもそうか。こんな部屋の状況で、しかも二卵性とは言え双子だ。気付かない訳がないだろう。
 「お姉ちゃんとは、良く逆になりたいって、言ってた」
 「へぇ?」
 「ホントは、野球やりたかったみたいで…」
 「ああ、確かに女で野球続けるのってまだまだ難しいもんな。それよりさ、それでいいよ」
  唐突過ぎたか、手当てをする手が止まった。でもこれでやっと俺の方を向いてくれる。
 「無理して姉とか、いいから。元だけどクラスメイトだし。話し易い口調で話してくれりゃあさ」
  少しだけ空気が緩んだか、ありがとう、と口元が上がった気がした。

 「なぁ、なんであんなトコで寝てたの?」
 「……今なら誰も居ないと思って……。ずっと、あそこに座りたかったから」
 「ふぅん」
  確かに窓際の一番後ろは人気の席だが、卒業してまでそこに座りたいと思うだろうか。そもそも学校に来たいと普通は思わないだろう。そうまでしてあそこに座りたかった理由は? …胸の奥がざわざわして止まらない。
 「なぁ」
  瞬間、心臓が跳ね上がる。俺、何聞こうとしてんだ、落ち着け!
 「もしかしてお前、俺のこと好きだったりした?」




  …………キョトンとされてる。


  キョトンとされてる! うわ~~~~~~っっっ、俺! ちょっ、馬鹿! 何言ってんの? 何言ってんだ!!
 「ちょっ、ゴメ違っっ! なし! 今のなしだから、忘れて!!」
  心の中でのた打ち回る。穴があったら入りたいとはこの事だ。俺の馬鹿! 自惚れ屋! 自意識過剰!!

 「……あの服で、あの席に座りたかったの。でもあったかいから眠くなっちゃって」
 「じゃあ、姉ちゃんが好きだったのか?」
  錯乱している。んな訳ないだろ! と心につっこみを入れた。でも奴はそんな俺の愚問にゆっくり考え込むように
「お姉ちゃんは、好きだよ」
と言った。
 「……ずっと、お姉ちゃんになりたかった」
  ああ、そうだ。確かにそう言っていた。何聞いてたんだ、俺は。
  俺の周りにいた女共は常に恋愛事しか頭になくて、しかも俺に惚れているのが当たり前だったから、ついその基準で考えてしまった。そうじゃなくて、こいつはただ純粋に憧れてただけなんだ。姉と、その立場に。だからわざわざリスクしょってまで、あの席で…。
 「うちのセーラー、この辺の学校じゃダントツに可愛いもんな」
 「…………うん。それに…」
 「何?」
 「…お姉ちゃんの服着せてもらえるのも、もう最後だと思うし……」
  そっか。こいつの理解者であり衣服の提供者である姉貴は、既にこの家には住んでいない。もしこのままソフトボールで身を立てる事にでもなったら、この家にはもう戻って来ないかもしれないんだ。
  何時の間にか俺の手当ては終わっていたようだ。背中を丸めて両膝の上で拳を握って座っているこいつの姿を見てると、なんだか放っておけない気がする。畜生。こんなすっぴんの、明らかにヤローの状態だってのに、何、振り回されてんだ? 俺は。
  堪らず出窓に目を向けると、レースの向こうでは柔らかな青空に雲がゆっくりと流れている。ああ、穏やかだなー…。こんないい天気の日に、俺はヤローと顔つき合わせて何やってんのかね? このファンシーな世界にあてられたせいで脳がうまく働いてなかったけど、何も中学最後の春休みにヤローの戯言に付き合う義理はねーよなー…。
  と、そこまで考えて顔を戻すと、全然冷静になれてない自分に向き合わされる。畜生、こいつ何だってこんなに…。俯いた奴の瞳に被さった睫毛は変わらず黒く光を捉えていて、教室での無防備な姿を思い出さずにはい

られない。
  駄目だ。俺、もう、さっきから思考がバラバラだ。大体こいつも悪いよ。そもそも春休みの教室に誰かいるなんて、それだけでも驚いたのに、あんな風に……綺麗になってるなんて。
  こいつ、俺に見つからなかったら明日も教室に行ったのかな? きっと姉貴が卒業するまで、この機会を楽しみにしてたんだろう。急に罪悪感が襲って来た。やっぱり何かしてやりたい。でも何を? ――考え付いた事に、俺は罪悪感以外の奇妙な感情が芽生えるのを感じた。

 「なぁ、デートしねぇ?」
  またきょとんとされているが、そんな反応も想定のうちだ。
 「これで最後なんだろ? だったら普段出来ない事やろうぜ。デートしよう、俺と。制服デート!」
  下を向いてしまった。くそ、これじゃ反応が見えない。
 「さっきみたいに、ちゃんと化粧してさ。待ち合わせして、普通のカップルみたいにさ。この辺が恥ずかしいなら遠出でもいいし。あ、俺相手じゃ役不足かもしれないけど、ちゃんとエスコートするから――」
  言いながらどんどん早口になっていく。今まで俺に告白してきた女共は、みんなこんな思いと闘ってきたのか? もしそうなら本当に尊敬する。早く、早く何か言ってくれよ、でないと――

「……残念だけど…」
  やっとで聞けた言葉に、愕然とする。何だ俺、結構期待とかしてた? 

さっき自意識過剰だって反省したばかりだってのに。きっと俺、今すげェみっともない顔してる。
 「さっきの足、ホントは結構痛くて。病院行かないと分かんないけど、外出はしばらく無理だと思う」
 「えっ、大丈夫か? 馬鹿だな、先に言えよ!」
  じゃあ今まで痛みを堪えて俺の馬鹿話に付き合ってくれてたのか? 遠慮にも程がある。
  進み出て奴のズボンをまくり靴下を外すと、右足首が真っ赤に腫れ上がって熱を持っていた。思わずイラっとくる。こんなになっても痛みを堪えているのに気が付かない鈍感な、信頼されてない自分に腹が立った。これじゃ断られるのも当然だ。
 「――とにかく、急いで病院行こう。歩けるか?」
  手を差し出すと、急に顔を上げて来た。突然のアップに心臓が跳ね上がる。
 「――だからね、」
  目が、逸らせない。
 「足が治ったら……でも、いい?」
  決意した顔だった。唇は小さく震え、繋いだ掌にはひやりと汗をかいている。きっと俺が知らぬところで、こいつの中にはいろんな葛藤があるんだろう。
  こいつは責任重大だ。軽々しいことを口にしたかと思ったが、そんな後悔よりも心が浮き立つのを止められない。やっぱり俺って考えなしなんだろうか。
 「最高のデートプランを考えとくよ」

  我ながら阿呆な台詞だ。やっちまったと顰めた眉に、『彼女』は最高の笑顔で答えてくれた。やっと本当の笑顔が見れた事にほっとして、繋いだ手から掬い上げるように身体を立たせてやる瞬間、学ラン姿の奴の袖を見て気が付いた。
 「……あ! 俺、制服持ってねェ!!」
 「そう言えば、昨日も今日も私服だったね」
 「卒業式に布になっちまったんだ。ああー、ごめん。今更だけど、俺は私服でもいい?」
  何が『最高のデートプラン』だ。始まる前からこれじゃ、先が思いやられる。
 「……昔、おばさんに買って貰ったワンピースがあるんだけど、お姉ちゃんゴテゴテして嫌だって一回も袖通してなくって。多分それならタンスに残ってると思う」
  それでもいい? と上目遣いに見つめてくる気遣いに思わず身震いする。
 「――もちろん! ついでに、目いっぱいおしゃれして来いよ」
  分かった。と微笑った奴の顔が紅く染まっていく。そうだ、足が治る頃には桜も咲いている。きっと満開の桜より、こいつの方が紅く色付くに違いない。俺は桜吹雪に浮かび上がる黒髪と薄紅色の頬を想像し、その日が来るのを待ち侘びた。

小説『3月』 第2章

『3月』第1章<

 やっぱり俺は運命なんて信じない。もし本当に運命とやらが存在するなら、廊下に正座させて悪戯でどれだけ人が傷つくか懇々と説教くらわせてやりたいところだ。

  確かにこいつはクラスメイトだったけど、女子ソフト部部長として輝かしい功績を残した姉貴と『本当に双子なのか?』って疑いたくなる程、地味で目立たなくて大人しい奴だった。

 そう言や俺とは別の意味で女子に囲まれてた気もするが…。女子の顔すら殆ど記憶しない俺が、とりわけ仲が良い訳でもないヤローの面なんか普段まともに見ちゃいなかったし、こいつちょっぴり化粧すらしてるし…。そりゃちょっとは似合ってると思ったけど。……大分見とれたりしたけど。
  性質の悪い冗談だ。こめかみを押さえたいところを堪えて、右手の中で埃を被っている黒髪を多少見られる形に整えて手渡しながら
「何かの罰ゲームな訳?」
と、思いつく限りで一番無難なあたりを聞いてみた。
  しかし(元)彼女は質問には答えず、カツラも無視してポケットからハンカチを取り出すと、差し出した右手の甲に当てようとした。ダイブして彼女を支えた拍子に、いつのまにか擦っていたらしい。
  最近の女ときたら、エアータオルが普及したせいか知らないが、ハンカチなんてそもそも持ち歩いちゃいない。ひどい奴だと『スタイリング』とか言って髪の毛で手を拭いたりしている。ところがそいつの取り出したハンカチは、今時どこで売っているのか真っ白な無地に小さなレースの付いた、正に『ハンカチーフ』って言葉の似合うハンカチで、つい「いいよ」とその手を払ってしまった。

  その瞬間、彼女(彼?)の顔色が変わった。
 「…………ごめんなさい…」
  消え入りそうな声で言われて、初めて自分のした事に気付いた。
 「違う、待てって!」
  逃げ出される前に手をつかんで捕まえる。
 「そんな白いハンカチ当てて、血のシミ付いたら落ちなくなっちゃうだろ!」
  だから―― と続けようとして、うつむいた彼女の顔がみるみると、また紅に変わっていくのに絶句してしまった。引き留めようとする余り手を強く握り締めていたらしい。表から勢いよく入ってきた春の風に、彼女のセーラー服とカツラの外れたショートヘアが大きく跳ねる。さらさらと柔らかそうな色素の薄い髪。咄嗟に身を固くした彼女の掌からは、こもった熱と一緒に小さく震えているのが伝わってきて、なんだか、すごく可愛い…。

  って、違うだろ! 彼女じゃねーじゃん。馬鹿か、俺は!!

  どうしようもなく混乱している。なんなんだ、これは??
 「……とりあえず、さ。それ脱いでもらう訳にいかねーかな?」
  ついその場にしゃがみんで言ってしまったが、しまった、これも失言だった。
 「あ、えっと、だからさ、そのカッコで来てなければ、なんだけど! 普段通りのカッコじゃないと、ちょっと緊張するっていうか! 脱いでくれって言うんじゃなくて、着てくれって言うか! …ンだあああっっ、もうっ」
  我ながら何言ってんのかさっぱりだったが、彼女(あああ、もういいか? 彼女で。めんどくせーから。)には伝わったようで、小さく頷くと小走りで教室へと戻って行った。助かった。少なくとも変態の汚名は免れたようだ。
  誰もいない昇降口は春の日差しが差し込んで暖かい。俺は段差に腰掛けて彼女のもつれた黒髪を直しながら、着替えが終わるのを待つことにした。ふと解く手に出来ていた擦り傷に目が止まる。あんなに躊躇いなく差し出せるあたり、あのハンカチは自前なんだろう。て事は、罰ゲームとかいじめの路線は消えた訳だ。まあ、いじめの線は初めから考えちゃいなかったけど。卒業してまでいじめなんて暇なことされるとも考えにくいし、そもそもいじめをされているような奴だったら、もう少しクラスで目立った存在になっていた筈だ。
  そうなると、やっぱり、アレの類なのか…?

  思わず天井を仰いで目を閉じる。自分の周りにそんな奴がいるなんて、考えた事もなかったな。ちゅうか俺、ソレに惚れてんだよね? え、惚れてんの? 男が男に惚れるなんて、そんなのあり得んのか!? ホントにこの俺が?? 違うだろ。だってアレは女だと思ったから、可愛いなーと思っただけで! 男に惚れるんだったら、すでに卒業前に惚れてて良かったってことじゃん、クラスメイトなんだから。全然、目にも留まらなかったぜ? 顔も朧なくらいだったし!
  そうだ、そうだ、と無理に自分会議が決着したところで奴が帰って来た。やれやれ、と振り返って見た奴の学ラン姿に、また絶句した。
「……ごめん、やっぱさっきのに着替え直して」

  そう言やこいつ、化粧してたんだった――。



  結局、俺たちは学ランで奴の家に帰る事になった。俺の動揺に気付いた『彼女』は、
 「大丈夫。もうちょっと待ってて、って言いに来ただけだから」
と言うと、植え込みの裏側にある水道で、身を隠すようにしながら器用に化粧を落とし始めた。確かにそこなら、植え込みのせいでグラウンドからも教室からも死角になる。よく考えてるよな。それにクレンジングまで持って来ているなんて用意周到だ。
 つまり奴は、学ランで登校して、校内で着替えて化粧して、また着替えて化粧を落として帰ってたって事だ。そこまでして……?
  考えれば考える程、アレの疑惑が確信に変わっていく。いや、人の趣味をとやかく言う義理は俺にはないよ? ないけどさ。

 「…ごめんなさい」
  化粧を落として完全に見知った姿に戻った『奴』は、小さな声でそう言った。
 「驚かせて…、怪我までさせて……。ちゃんと手当てしたいけど、保健室は使えないし…」
  確かに保健室に行ったら、卒業した身分にもかかわらず無断で忍び込んだのがバレてしまう。
 「いや、いいよ。大した傷じゃないし。つか怪我したの俺のせいだし。そっちこそ平気だった? その……とびかかったりして」
 「あ、ううん、平気」
  音が鳴るほどぶんぶんと首を振る。思い出したのか、また耳が赤くなっている。
 「じゃあ、これで」
 「あ、待って」
  気まずさに立ち去ろうとした俺を、慌てて引きとめようとしたそいつは(さっき首を振り過ぎた余韻が残っていたのかもしれない)腕をつかみ損なって、そのまま横に崩れ落ちた。今、変なコケ方しなかったか?
 「オイ、大丈夫か?」
  引き上げてみたが、またへたりと座り込んでしまう。
 「今、ひねったんじゃないのか?」
 「……かも」
  何でさっきのダイブじゃ無傷だったくせに、こんな何でもないところで…。ま、とにかく、しゃーない。
 「送って行くから。家、どこ?」
 「うん、すぐそこ。あの……ごめんね」
 「いーから」
 「ホントは家が近いからそこで手当てさせて、って言おうと思って引き止めたんだけど」
 「それで自分が怪我してちゃ、世話無いな」
 「……ゴメン」
 「だから、いーって」

  ちゅうか、やっぱ俺のせいだろ?

>『3月』第3章

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サークルプロフィール
「まえぜん」について
「まえぜん」とは、"まえがたつからぜんりつせん"の略。
オリジナル創作小説の個人サークルです。
PNはサークル名と同じ"まえぜん"。
子育てライフ満喫しながら、まったり活動再開妄想中^ ^;



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