主人公:高1男子
 割と田舎の通学電車(1時間に3本くらい)。帰りの電車で向かいに偶然向かいに座っていた少女が、小学生の時に好きだったクラスメートだった。
 中学は学校が分かれてしまうので告白したかったが言い出せず、卒業証書の筒の中に手紙を入れた。 もちろん返事はないまま、それきり会っていなかった。
 もしくは中学持ち上がりでもいいのだが、卒業証書の筒の中に手紙を入れるのは同じ。その後はクラスも別れて会話できず。

 中学別パターンだと、高校が近かった事も知らないだろうから、偶然居合わせる辻褄は合う。
 中学が同じなら、噂でどの高校かは知っていそう。なんで返事をくれなかったのかやきもきするさまは表現しやすいか。

 目が合って、恥ずかしくて下を向いているとガサガサ音がする。顔をあげないように視線だけを少女に向けると、まるでこちらが視界に入っていないかのような涼しい顔で文庫本を読んでいる。
 拍子抜けして(少し腹も立って)ちらちらと彼女を盗み見ていたが、すっかり集中しているようなので、段々気が緩んで見つめ続けてしまう。
 彼女の瞳が揺れて、瞼の辺りが赤く染まった。もしかして泣いてる? 何の本読んでるんだろう。
 瞬間、彼女の顔が正面を向いて、自分が顔をあげて彼女を凝視していた事に気が付いた。慌てて下を向く。もう遅い?
 同時にアナウンスが聞こえて、電車が速度を落としだす。向かいから荷物をまとめ、かけだす音。まだ地元の駅まで2駅もあるのに。用事でもあるのだろうか? と、自分の横でバタンと大きな音がする。
 驚いて顔を向けると、彼女がドアの前でうずくまっていた。

「だ、大丈夫か?」
 どうやって助け起こそうかと一瞬ためらった隙にドアが閉まって電車は走り出してしまう。
 ……とにかく椅子に座らせよう。肩と腕を支えようとして、その細さにびっくりする。
「ほんと、大丈夫か?」
 一拍おいて静かに聞くと小さくうなずいた。
「どっか悪いとか?」
「…………ううん、ただの立ちくらみ。でも……本、ホームに落としちゃった」
「ああ……気づかなかった、悪い。今の駅で降りるんだった? 用事?」
「ううん、違う。…………え、っと。だって……」
 下を向いたままスカートの裾をぎゅっと握って
「だって、は……ずかしく、て…………」
 その仕草が、本当に恋する乙女みたいで可愛くて、なんかもしかして望みがあるんじゃないかって思えて。生唾飲み込んであのっ……て言いかけたら駅に着いてしまった。
(田舎の2駅だと10分くらいはあると思うので、もうすこし間を持たせた方がいいかも)

 改札で駅員に本の事を尋ねたら、落とした駅で預かってくれているとの事。明日取りに行きます。とほっとした表情で答える少女。
 手紙。読んでくれたのかな? どう思ったかな? どう思ってるのかな? 俺の事。
 その日は何も聞けないまま別れてしまう。

「ああ、そりゃ、気付かれてないんじゃね?」
 次の日、高校の友人に話してしまった。
1「だってオレ、卒業証書なんて貰ってから一度も開けてないぜ。筒のまま押入れいれっぱなし」
2「え、嘘。俺んとこは額入れて飾ってあるけど」
1「うわ、マジ? まっじめー!」
2「ちっげーよ! 俺がやったんじゃなくて、おふくろが――」
 どっちのパターンも予想してなかった! でもあり得る! 卒業証書なんて物が物だけに。どっちのパターンでも困るけど、特に2。親が先に見るなんて最悪だ!

 放課後、急いで電車に飛び乗って、昨日の駅へ向かう。改札で本の落とし主が現れなかったか尋ねようとしていると、彼女がやってきた。違う車両に乗っていたらしい。
 頬を染めながら怪訝そうな顔をする彼女に、深呼吸をひとつしてから
「昨日聞き忘れた、っていうか、ずっと聞きたかった事があって。…………卒業証書、なんだけど――」
 言い終わらないうちに表情が怒りへと変わる彼女にびっくりして、言いよどんでいると
「あなたがやったの?」
 小さく、だけどはっきりそう言った。あれ、俺名前書いたよな? と思いながらも
「うん」
 て答えると、彼女の平手打ちがとんできた。
「…………信じられない!」

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 実際に彼女が見た筒の中身は、びりびりに破かれた卒業証書。
 主人公が卒業証書に手紙を入れるのを見てしまった他の女子が、嫉妬にかられてやった
 嫉妬の詳細を恋愛感情にするか、彼女自身にするか、友情にするかは、要検討。

※恋愛にするなら、中学になってヒロインと主人公は離れてしまい、競争意識がなくなって、あっと言う間に醒めてしまっているとかのが膨らむか? 一途に高校まで主人公と一緒でもいい。主人公とは仲よくやっているが、恋心は気付かれていない。
※彼女自身なら、きっとヒロインと同じ中学・高校に通っているはず。
※友情壊されたくなくて、主人公に嫉妬だったら、相談うけて「ほれ見た事か」的な事をいうかも。自分は普通に彼氏がいるくせに、ヒロインが他を向くのは許せない。性格が悪いのを見透かされているので、女の友人は彼女しかいない。

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 叩かれたものの、田舎なので同じ電車に乗るしかなくて、違う車両に乗るのもなんかわざとらしいので、同じ車両のちょっと離れた場所に座ってみたり。
 彼女は返してもらった文庫本の続きを開くと、さっきまでの怒りを忘れたかのように、すっと本の世界に入り込んでしまった。小さく表情を変えながら、瞳を上下に動かしている。
 あんなに集中してしまうなんて、一体どんな本なんだろう? カバーがかかっているのでタイトルが見えない。
(最後に貸してもらえるといいか? 途中の話に絡めるか?)

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 ひとまずここまで。